長野駅から善光寺正面に通じ、藤屋御本陣様や根元 八幡屋磯五郎様といった、長野市を代表する店舗や、文化的価値を持つ建築物が軒を連ねる「善光寺表参道 中央通り」にて、御影石平板および【QT工法】をご採用いただきました。
今回の工事では、善光寺に隣接する善光寺表参道の「大門交差点」から「善光寺交差点」までの約150メートルの区間において、車道部の石畳舗装(約860㎡)の修繕工事を実施いたしました。

既存の車道部石畳舗装は、施工から20年以上が経過しており、平板の「剥離」や「破損」が目立つようになっていました。
その結果、車両の走行時には「カタカタ……」と音が響くようになり、歩行者が横断する際には、剥離による段差につまずくおそれもあり、安全面での不安が高まっていました。
通過車両や歩行者(特に観光客)の安全を確保するため、車道においても高い耐久性を備えた舗装修繕工事を実施することになりました。
長野市中央通りは、長野県を代表する観光地であることから車両交通量も多く、石畳舗装にとっては非常に厳しい環境にあります。とりわけ大型バスの通行が多く、ハンドルをきって「ストップ&ゴー」が繰り返す場所でもあります。
そこで今回のような経年劣化等による剥離などの問題を解消するために、東亜道路工業株式会社様のお力をお借りし、東亜道路工業株式会社様の工法である、車道用ブロック舗装強化基盤工法『QT工法』にて施工を実施しました。
「QT工法」とは、自然石やインターロッキングブロックなどを用いた、ブロック舗装の強化基盤工法です。
基礎に厚さ3cm程度の砕石層を設け、敷設後に「QT材(ポリマー入り特殊セメントアスファルト混合物)」を浸透させることで、自動車などの交通荷重に十分耐えきれるブロック舗装を可能にします。


【姫路駅前:QT工法石畳舗装(東亜道路工業様HPより)】
長野県では初の施工でありましたが、東亜道路工業株式会社様としては、「皇居内」や「新潟市古町」、「姫路駅前」など、全国で数多くの施工実績を有しており問題の無い施工方法でありました。
使用した主な石材は、「中国産御影石・桜(400×700×80mm/天端ビシャン仕上・側面割肌仕上)」です。平板1枚で約60kgにもなる製品です。
そして十分な交通荷重に耐えられるようにするための強化工法が「QT工法」になります。
施工方法の概要は、下記のとおりです。
(1) 6号単粒砕石を敷き均した上に、直に平板を敷設していきます。


(2)「QT材」注入箇所の平板を外し、注入箇所を設けます。


(3)「Q材」と「T材」を撹拌し、注入材を作ります。

(4)「QT材」の注入。しっかり充填します。


(5)平板の敷戻し、高さ位置決め作業をします。


(6)QT材硬化後、練モルタルにて目地処理となります。
施工前と竣工後の現場の様子を、【Before】【After】形式でご紹介いたします。現場の変化や仕上がりの様子を、写真を通じてご覧ください。
【Before】※写真提供:川浦土建株式会社 様



【After】






【Before】では、アスファルトによる補修箇所が目立ち、維持管理の苦悩が伺えましたが、【After】では、黒御影石から桜御影石へと変わり、明るく、温かみのある印象に生まれ変わりました。
また、通行時に聞こえていた「カタカタ音」も解消され、歩行者・車両ともに安心して通行できる快適な道路空間が実現しました。
今回の工事は、地元の皆様、行政関係者様、設計事務所様、施工業者様など、多くの方々のご理解とご協力により、QT工法にて施工をさせていただくことが出来ました。
地元の皆様が抱えていた課題解決のお手伝いをさせていただくことができ、本工事を通じて貴重な経験を積むことができました。
また、使用した花崗岩(御影石)は耐候性・耐摩耗性に優れた材質であり、そこにQT工法を組み合わせることで、「剥離」や「破損」などのリスクを低減し、舗装の長寿命化と、今後の維持・メンテナス費用の低減にもつながると思います。
今後も「石材」を通じて、安全で快適、そして潤いのある空間づくりをお手伝いさせていただければと思います。